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きもだめし
(夏、じめじめした夜遅く)
シャルドネ「ふぁ〜あ…、そろそろ寝るか…、…ん?」
(廊下の隅に人影)
シャルドネ「だれだ、こんな夜中に…。」
(シャルドネ、部屋からでて人影のもとへ)
シャルドネ「ああ、なんだ、ジゼルシアか。」
ジゼルシア「あ、シャル姐、悪い、起こした?」:小声で
シャルドネ「いや、大丈夫だ。それよりどうかしたのか?こんな遅くにこんなところで。」
ジゼルシア「んー…、ちょっと事情があって…」:少し言いづらそうに
シャルドネ「???」
(サイディ、アリーシア、コルニムの存在に気付く)
シャルドネ「お前たちもいたのか、どうしたんだ?こんな夜中に。」
サイディ「あ、えーっとね、」
アリーシア&コルニム「言っちゃダメ!!」:必死、焦り
サイディ「うーん…」:困ったように
シャルドネ「ん?怒らないから言ってごらん?」
(アリーシア&コルニム、いやいや)
シャルドネ「うーむ、言いたくないならしょうがない、早く部屋に戻ってお休み。」
(サイディ、アリーシア&コルニムを部屋まで連れて行く)
ジゼルシア「ごめんな、シャル姐」
シャルドネ「ああ、いや、いいんだよ。それで、あの二人はどうしたんだい?」
ジゼルシア「…実は……」
【回想シーン】
(夜、ごはん終わってから)
ラムニード「東の果ての国には”肝試し”という、儀式があるそうだ!」
コルニム「”きもだめし”…?」
サイディ「また始まった…。」:呆れたように(独り言)
ジゼルシア「どこで手に入れてるんだ、そんな知識」:呆れを通り越して感心(独り言)
アリーシア「ラム兄、その”きもだめし”という儀式はどんなものなの?」
ラムニード「よく聞いてくれたアリア!この”肝試し”とは、一年に一回、それも夏にやらなければならない儀式なのだ。」
アリーシア&コルニム「………」(しきりにうなずいてる感じ)
ジゼルシア「アリア、そんな話聞かなくてもいいんだぞー…、って聞いてないか…。」
サイディ「面倒なことにならなきゃいいけど…。はぁ…」
(肝試しとは、大人の階段を上るために必要な儀式であり、これをクリアすれば一人前の大人として扱ってもらえること、やることは簡単、夏の夜に建物や森に出現する”ユウレイ”という魔物を退治すること、と説明する)
ラムニード「とまあ、こんな儀式なのだ。」
アリーシア&コルニム「……………」:考え込んでる
ジゼルシア「へー、そんなものがあるんだ。」:感心してる
サイディ「ジージャ…、君まで真に受けてどうするの…。はいはい、もう遅いから寝よ。明日も練習あるんだから。」:呆れ、手をパンパンしながら
(みんなが寝静まった頃)
(コルニム、起き上がる)
コルニム「…アリア、起きてる?」:小声で
アリーシア「…うん。」:小声で
コルニム「…ねえ、アリア…。」
アリーシア「なあに、コニー…。」
コルニム「僕たちで、”きもだめし”やろう。」
アリーシア「ダメよ、明日も練習があるのよ?サイディに言われたでしょ?」
コルニム「…アリアは、早く大人になりたくないの?」
アリーシア「…コニー…。」
コルニム「僕は、なりたいよ。早く大人になって、先生を守れるような強い男になりたい。」
アリーシア「…私も、早く大人になって、お兄様がつらそうな顔しなくて済むようにしたい。」
(二人でうなずく)
コルニム「”ユウレイ”ってどこにいるのかな…。」
アリーシア「まずはこのおうちの中から探しましょ。もしもそんな魔物がいたら大変なことになるわ。」
コルニム「そうだね。」
(コルニムの炎を頼りにしばらく二人で歩く。ギシギシ音がする。風の音も聞こえる。)
(突然の大きな音)
アリーシア&コルニム「ひぃっ………………。」
(二人、動けなくなる。しばらくそこにたたずむ。)
(さらに大きくなる音。二人で身を寄せ合い、恐怖に耐える。)
アリーシア「…ぐすっ…」
コルニム「アリアぁ、泣かないでよぉ。」:泣きそう
アリーシア「だ、だってぇ…」:泣いてる
コルニム「うううぅぅ…」:泣き出す
(トイレに起きたジゼルシア、アリーシアとコニーがいないことに気付く)
ジゼルシア「…あれ…、おい、サイディ。」
サイディ「うーん…?なに…、ジージャ、明日も早いんだよ…?」
ジゼルシア「アリアとコニーがいない。」
サイディ「え…?トイレに行ってるんじゃないの…?」
ジゼルシア「いや、ベッドは冷たいし、それなりに時間が立ってるはずだ。」:少し焦り
(サイディ、起き上がる。)
ジゼルシア「もしかして、昼間のラム兄の話真に受けたのかも。」
サイディ「…探しに行ったほうがいいね。」
(明りをもって探しに行く。遠くから泣いてるような声が聞こえる。)
サイディ「あっちから声が聞こえる。」:風の力で探索とかできたらいいよね!
ジゼルシア「急ごう、何かあったのかもしれない。」
(泣いてる二人を発見、保護。)
ジゼルシア「アリア!コニー!」
サイディ「二人とも大丈夫?けがしてない?」
(二人が表れてくれたことで安堵、さらに泣く)
ジゼルシア「アリア、ゆっくりでいいから、何があったのか教えて?」
サイディ「コニーもだよ、心配したんだからね。」
(うまくしゃべれない二人からことの顛末を聞く。嬉しい反面、やっぱり複雑なジージャ。)
サイディ「よしよし、もう大丈夫だよ。」
ジゼルシア「兄様がついてるよ、アリア。」
(なんとか二人を立ち上がらせ、部屋に帰る)
【回想シーン】終了
ジゼルシア「…というわけ。」
シャルドネ「…なるほど…。」(確かに”肝試し”という行事はあるが、あれはレクリエーション(遊び)の一種だし、怪談違いだろう…。ラムニードの奴適当なこと教えて…。とか考えてる博識な姐さん)
ジゼルシア「本当にひやひやしたよ、こんなくらい中、外に行ってたら探せなかったから…。」
シャルドネ「まあ二人に何かあったわけではないし、よかったな。お前も疲れただろうし寝なさい。明日の授業は少し遅く始めよう。」
ジゼルシア「ありがとう、シャル姐。それじゃ、おやすみなさい。」
(一方、サイディ、アリーシア、コルニムは部屋につく。二人はまだ恐怖を引きずってるのか、寝ることを嫌がったが、サイディにあやされ、疲れもあってか時をおかずして寝る。)
サイディ「ふぅ、やっと寝た…。」
ラムニード「ぐう…ぐう…。」
(サイディ、ラムニードのベッドのすぐそばに)
サイディ「のんきにねちゃってまぁ…、誰のせいでこんなことになったと思って…。うりゃ。」
(サイディ、ラムニードの鼻をつまむ。)
ラムニード「ふぐっ…ふぐぐっ…………、ぐぐぅ………。」:起きない
サイディ「ふふっ。これでも起きないんだ…。」
(ちょっと溜飲が下がったサイディもベッドに入る。)
(ジゼルシアが部屋に戻ってくる。)
ジゼルシア「シャル姐が明日の授業の始まりを遅くしてくれるって。」
サイディ「ふわぁ…。確かにこれじゃあ授業どころじゃないね。」
ジゼルシア「そうだな。」
サイディ「おやすみ。」
ジゼルシア「おやすみ。」
(二人の寝息も聞こえてくる。)
(次の日の朝)
ラムニード「みんなおはよう!今日もすがすがしい朝だね!!…おや、どうしたんだい?みんな疲れた顔して。」
アリーシア&コルニム「むにゃむにゃ、ふわわわあぁ〜…。」
サイディ「誰かさんが余計なこと言ってくれたおかげでね…。」
ジゼルシア「その誰かさんは気持ちよく寝れたみたいだけどな…。」
ラムニード「????」
シャルドネ「あはは…。」
早く大人になりたい少年少女のお話
Author:あきつ 2014/10/13