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星に願いを
【料理中。】
ジゼルシア「ああ、毎日毎日うっとおしいな。」:べたつく髪をかきあげて
サイディ「確かに、これじゃあ気分も滅入っちゃうね…。」
ジゼルシア「あれ?サイディは南の出身だよな?」
サイディ「そうだよ?」
ジゼルシア「じゃあ暑さとか湿気とかには慣れてるんじゃないのか?」
サイディ「うーん、確かに毎日暑かったけど、ここまで湿気はひどくなかったなぁ。」
ジゼルシア「そうなのか?」
サイディ「うん。地元でも、サイディは夏生まれだから特に暑さとか強いねーって言われてたんだー。」
ジゼルシア「そんなサイディが滅入るって相当だよな…。」
サイディ「本当に困っちゃうよ。ここは四季がはっきりしてて、色々体験できてとっても楽しいけどね。湿気だけはちょっと遠慮したいかも。」
ジゼルシア「この湿気の中で料理するのも大変だしな…。」
サイディ「よしっ、完成!先にあっち出してくるねー。」
ジゼルシア「おう、頼んだ。」
ジゼルシア「…………待てよ、夏生まれ…?」
【その日の夜、ダイニングにて。】
がさがさ……、こそこそ……。
ジゼルシア「と、いうわけだ。」:小声
ラムニード「なんと、夏生まれだったのか。」:小声
シャルドネ「そういう話はあまりしたことがなかったからなぁ…。」:小声
アリーシア「お兄様、詳しい日にちは聞けたの?」:小声
ジゼルシア「いや、そこまでは聞けなかった…。」:小声
コルニム「でも早くしないとすぎちゃうかもしれないよ?」:小声
シャルドネ「誰かが聞くしかないな。」:小声
ラムニード「しかし誰が…、」:小声。途中で遮られる。
【リビングの扉が開く。】
サイディ「みんな、こんな遅くに何してるの?ジージャ?」:眠そう
みんな「(びくっ!)」
サイディ「あっ!!」
【つかつかつか、とサイディが近寄ってくる。】
みんな「(びくびくっ!!!)」
サイディ「アリアとコニーまで起きてる!」
みんな「(ほっ…)」
アリーシア「ご、ごめんなさいサイディ…。」
コルニム「ごめんなさい…。」
サイディ「ジージャとシャル姐も、二人を寝かさないとだめじゃない!」
ジゼルシア「うっ…、すまん…。」
シャルドネ「面目ない…。」
サイディ「ラム兄はいいとして、二人とも保護者なんだからそこはしっかりしないと!」
ジゼルシア&シャルドネ「はい…。」
ジゼルシア「ってなんでラム兄はいいんだよ!年齢的には保護者だろ!」
ラムニード「何か引っかかる言い方だな…。」
サイディ「ラム兄にそんな甲斐性求めても無駄だってわかってるから。」
ラムニード「おい!俺にも甲斐性はあるぞ!」
ジゼルシア「あー、そうだな、確かに無駄だな。」:ラムニード無視して
ラムニード「ジージャ!」
コルニム「僕、ラム兄が保護者なんてやだ。先生がいい。」:ぷうっ
アリーシア「私もラム兄が保護者だとちょっと心配かも…。」
ラムニード「コニー!アリアまで!」:ガガーン!!とショックを受ける
シャルドネ「確かにラムニードじゃあ難しいな」:うんうん
ラムニード「シャル姐にだけは言われたくない…。」
シャルドネ「ん?なんか言ったか、ラムニード」:にっこり氷点下
ラムニード「いえ、なんでもありません。」:びしっ
サイディ「何してたかは聞かないけど、ちゃんと寝なきゃだめだよ?」
みんな「はーい。」
【解散してみんなが部屋に戻った後】
サイディ「なんか仲間外れにされてる…。」
サイディ「いやいやみんなに限ってそんなこと…。」
サイディ「ない…よね…?」
【一夜明けて】
ジゼルシア「…なあ、サイディ。」
サイディ「なあに、ジージャ。」
ジゼルシア「あの、さ。えっと…。」
サイディ「どうしたの?」
ジゼルシア…いや、なんでもない…。」
サイディ「?」
【みんなで裏でこそこそ】
ラムニード「今チャンスだったじゃないか!」:小声で
シャルドネ「後ちょっとだったのに!」:小声で
ジゼルシア「そんな違和感ないように聴くなんて俺には無理だって!」:小声で
コルニム「ジージャ、とっても怪しかった。」
ジゼルシア「だよなぁ…。」
【サイディが近寄ってくる】
サイディ「何をこそこそお話してるの?」
シャルドネ「い、いや〜、まあ、その、な?」
ラムニード「これにはいろいろとわけがあってだな…。」
コルニム「ねえサイディ。」
サイディ「なに、コニー?」
コルニム「サイディの誕生日っていつ?」
ジゼルシア&ラムニード&シャルドネ「(ちょ!!!)」
サイディ「7月7日だけど…どうしたの?」
ジゼルシア&ラムニード&シャルドネ「(あわわわわ……)」
アリーシア「あのね、街のほうで誕生日を使った占いが流行っているの。」
コルニム「そうなの。昨日の夜もそれで盛りあがちゃったんだぁ。」
【アリーシア&コルニムがサイディの誕生日を占い、結果を伝える】
サイディ「すごいねっ。でもそれなら最初からあたしも入れてくれればよかったのに…。」
アリーシア「サイディは毎日忙しそうだから起こしちゃ悪いんじゃないかってお兄様が…。」
コルニム「おいしいご飯とかも作ってくれるし、感謝してるからって先生が…。」
サイディ「そうだったんだね。ありがとうアリア、コニー。ジージャとシャル姐も。」
ジゼルシア「い、いや、まあ、な。」
シャルドネ「そ、そうなんだよ。サイディも誘えばよかったなぁ。」:ちょっと棒読み
ラムニード「(なぜ俺が入っていないんだ…。)」
サイディ「今度やるときにはあたしも誘ってね!」
アリーシア&コルニム「わかった(わ)!」
サイディ「うん!あ、そうだ、洗濯するからジージャ呼びに来たんだった。」
ジゼルシア「あ、そうか、忘れてた。行こう。」
【二人、洗濯しに行く】
ラムニード「あ、危なかった…。」
シャルドネ「ひやひやしたが、なんとかなったな。よくあんな言い訳思い付いたな、アリア、コニー。」
アリーシア「街では本当にはやってるの!」
コルニム「それでね、昨日の昼に僕たちやったばっかなんだ!」
シャルドネ「そうかそうか。ありがとうな。」
アリーシア&コルニム「えへへ…。」
ラムニード「(くそぅ…、いいところがない…!)」
【???ルート】
ラムニード「(はっ!そうだ!!)」
ラムニード「みんな!聞いてくれ!!」
(ラムニード、七夕の知識を披露。東の果てにある国では7月7日に七夕と呼ばれる行事があり、笹を飾って星空の下でどんちゃん騒ぐものであると説明。)
アリーシア「まあ!!そんな素敵な行事があるのね!!」
コルニム「日にちもピッタリだし、良いと思う!」
シャルドネ「(本来の行事としての意味は違うが、まあ、サイディの誕生日を祝うには都合のいい内容だしな、訂正しないでおこう。)」
シャルドネ「じゃあそうと決まればさっそく準備をしよう。サイディには内緒でな。」
アリーシア&コルニム「わーい!!」
シャルドネ「ジージャにはアリアから伝えておいてもらえるか?パーティにおいしい料理はつきものだからね。」
アリーシア「分かったわ!」
シャルドネ「じゃあお願いするよ。私は急いで笹の準備をするから。」
コルニム「僕も一緒に行く!」
シャルドネ「そうか。じゃあ一緒に行こう。」
ラムニード「じゃあ俺は…!」
アリーシア&コルニム&シャルドネ「ラム兄(ラムニード)は何もしなくていい(よ)。」
ラムニード「なんだと!提案者は俺だぞ?!」
アリーシア&コルニム&シャルドネ「それでもだ(よ)。」
ラムニード「うっ…、な、なぜだ……………。」:しょんぼり
【洗濯場にて】
サイディ「みんなで内緒の話してるのかと思ってさみしかったんだよ?」
ジゼルシア「ご、ごめん…。」
サイディ「まあ、仲間外れにされてないことが分かったし、誕生日占いも面白かったしね。」
ジゼルシア「う、うん…。」
ジゼルシア「(なんとかごまかせたか…。ありがとう、アリア、コニー…。しかし、罪悪感が…。)」
サイディ「ねえってば!!」
ジゼルシア「うわっ!な、なんだよサイディ。」
サイディ「もうっ。聞いてた?」
ジゼルシア「悪い…。聞いてなかった。」
サイディ「だからね、誕生日占い、ジージャはどうだったのって。」
ジゼルシア「えっ…、えーっと…。わ、忘れた…。」
サイディ「もー。ま、ジージャは占いとか興味なさそうだもん。覚えてないよね。」
ジゼルシア「あ、あはは…。」
ジゼルシア「(ぼろ出す前にはやくおわらせなきゃ…。)」
【洗濯が終わり、建物の中に入る。】
アリーシア「お兄様!」
ジゼルシア「アリア。」
アリーシア「ちょっとこっちに来てほしいの。」
ジゼルシア「どうしたんだ?」
アリーシア「え、えっと…、しゃ、シャル姐が呼んでるの!」
ジゼルシア「シャル姐が?」
サイディ「あ、じゃああとは私がやっておくからジージャはシャル姐のところ行っていいよー。」
ジゼルシア「悪いな、サイディ。」
サイディ「このくらい平気だよ。さあさ、行った行ったっ。」
アリーシア「こっちよ、お兄様。」
ジゼルシア「ああ。」
サイディ「(シャル姐が呼び出すくらいだもん、重要なお話なんだろうな。)」
【ジゼルシア&アリーシア、場所を移動】
ジゼルシア「それで、シャル姐はどこにいるんだ?」
アリーシア「そ、その、さっきのはちょっと違うの。」
ジゼルシア「違う?どういうことだ?」
アリーシア「シャル姐が呼んでるんじゃなくて、シャル姐から伝言を頼まれてるの。」
ジゼルシア「伝言…。」
アリーシア「あのねお兄様、サイディの誕生日に七夕パーティを内緒で開くことにしたの。」
ジゼルシア「たなばたぱーてぃ?。」
アリーシア「なんかね、ラム兄が提案してくれたんだけど、星空の下で笹を飾ってお祭りするイベントらしいの。ちょうどサイディの誕生日に行われるんだって」
ジゼルシア「そうなのか」
アリーシア「笹はシャル姐が準備してくれるらしいの。それで、美味しい料理をお兄様に頼みたいってシャル姐が。」
ジゼルシア「よしわかった。みんなが驚くようなおいしい料理、いっぱい用意しなきゃな!アリア、手伝ってくれ!」
アリーシア「わかったわ!」
ジゼルシア「じゃあまずはメニューを考えて…。」
【シャルドネ&コルニム笹を採りに出かける】
コルニム「どのくらいがいいのかな?」
シャルドネ「大きければ大きい方が良いだろうな。」
コルニム「あ、じゃああれはどうかな?」
シャルドネ「おお、あれは大きいな。よし、あれにしよう。コニー、少しどいててくれ。」
コルニム「うん!」
シャルドネ「行くぞ!ルフト・マッシェン!」
【シャルドネ、笹に向かって風魔法】
コルニム「せんせぇすごい!!」
シャルドネ「よし、…って、ああ!!」
【笹がコニーのいる方向へ倒れていく】
シャルドネ「コニー!!危ない!!!」
コルニム「はわわ……、はっ、し、シルマー!!」
【コルニム、笹に向かって防御魔法。倒れる方向を変えることに成功した。】
シャルドネ「か、間一髪…。」
コルニム「ふぅ……。」
シャルドネ「済まなかったコニー。大丈夫か?」
コルニム「う、うん。びっくりしたけど平気。」
シャルドネ「良かった…。もう少し気をつけなければ…。…ん?焦げ臭い…?」
コルニム「……ああ!!笹が!!!!」
【コルニムの防御魔法によって今にも発火しそうになってる笹】
シャルドネ「おわっ、コニー!制御だ制御!!!」
コルニム「う、うん!!」
シャルドネ「ああ!燃えてしまう!!」
【場所変わってラムニード】
ラムニード「くそ…っ…!俺が言い出したことなのになんで除け者なんだ!」
ラムニード「いや、待てよ…?」
【場面変わってダイニングにいるサイディ】
サイディ「ジージャおそいなあ…。そんなにシャル姐のお話長いのかなあ…。」
シャルドネ「た、ただいま…。」:へろへろ
コルニム「ただいまぁ…。」:同じくへろへろ
サイディ「おかえりー、…ってどうしたの二人とも!!びしょ濡れじゃない!!」
シャルドネ「い、いろいろあってな…。」
シャルドネ「(言えない…!誕生日パーティ用の笹を用意していたら危うく燃やしそうになったなんて…!さらに焦って水魔法の威力を間違えたなんて…!あまつさえ笹が大きすぎて運ぶ のに体力をつかいきってしまったなんて…!!!絶対に言えない!!!)」
コルニム「あのね、僕がまた失敗しちゃったから…。」
シャルドネ「(コニー!!)」
サイディ「そうだったんだ、大変だったね。」:コルニムよしよしする
シャルドネ「(ぐっじょぶ!!!)」
サイディ「あれ?そういえばシャル姐さっきジージャに用事があるって…、なんで外にいるの?」
シャルドネ「あ、え?えーと…………。」
コルニム「僕が失敗しちゃったから先生来てくれたの…。」
サイディ「そっか。コニーももう少し気を付けようね。シャル姐、ジージャとのお話終わったらジージャに今日の晩御飯のメニュー相談したいからここにきてって伝えておいて。」
シャルドネ「あ、ああ、わかった。伝えておく。」
サイディ「二人とも呼びとめちゃってごめんね。濡れたままじゃ気持ち悪いでしょ。今ふくもの持ってくるよ。」
シャルドネ「ああ、わるいな。」
コルニム「ありがとう。」
【サイディ、ふくものを取りに行く】
シャルドネ「……………………………、危なかった…。」
コルニム「…うん。」
【その後、なんだかみんなギクシャクした感じに過ごす】
サイディ「(なんだろう、みんななんかギクシャクしてる…。喧嘩、とかではなさそうだけど…。)」
【そして、当日】
サイディ「ねえジージャ、あのね、今日ね、」
ジゼルシア「サイディ、今日はちょっと遠くまで買い物してくるから遅くなる。」
サイディ「そうなの?…私も行こうか?」
アリーシア「私も一緒に行くから大丈夫よ!サイディはいつも大変なんだからおうちでお留守番してて、ね。」
サイディ「…うん、わかった。いってらっしゃい。」
サイディ「ねえシャル姐、」
シャルドネ「わるいサイディ。今からコニーの練習に付き合わなくてはならないんだ。」
コルニム「せんせぇ!はやくはやく!!」
シャルドネ「今いく。また後で、な。」
サイディ「…うん、わかった。また後で。」
【みんながいなくなってがらーんとしたリビング】
サイディ「…みんな、行っちゃった。」
【机に突っ伏すサイディ】
サイディ「…今日、私の誕生日なんだけどな…。」
サイディ「また、家族みんなでお祝いできると思ったのに…。」:声が震える
サイディ「しょ、しょうがないよね、みんな忙しいんだし、うん、みんな帰ってきてから言えばいいや!」:独り言
サイディ「…、でも、やっぱりさみしいなあ…。」:目がうるんでくる
【突然、上からものすごい物音】
サイディ「えっ??!何?!!!!」
【階段を駆け上がる】
サイディ「(今誰もいないはずなんだけど…。まさか、泥棒??!!!)」
【恐る恐る二階を見て回る】
サイディ「なんで、今日に限ってこんなことに…。」:本格的に泣きそう
【突然一室のドアが勢いよく開く】
ラムニード「できたぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
サイディ「ひゃあ!!!!!!!!!!!!!!!」
ラムニード「おわっ!!!!!!!!!!!」
サイディ「…あ、…らむ…にい…?」:ナチュラルにラム兄の存在忘れてた
ラムニード「なんだ、サイディじゃないか。突然大きな声を出してどうした、………」
サイディ「お、脅かさないでよラム兄…。」
サイディ「…ラム兄、どうしたの?」
ラムニード「サイディ……、泣いて、いたのか?」
サイディ「え?あっ…、な、なんでもないよ!なんでも…」
【目をごしごしとこするサイディ】
ラムニード「やめるんだ、サイディ。」:優しく、言い聞かせるように
【サイディの腕をつかむラムニード】
サイディ「…本当に、なんでもないの…。」
ラムニード「なんでもなくはないだろう?そんな顔をして。」
サイディ「だって、だって…」
ラムニード「言ってごらん、サイディ。」
サイディ「だって、みんな、出てっちゃうんだもん…。」
ラムニード「みんな?じゃあほかには誰もいないのか?」
サイディ「うん、みんな、あたしの話聞かないで、出てっちゃった…。」
ラムニード「話?話とはなんだ?」
サイディ「あのね、今日ね、あたしの誕生日なの…。」
ラムニード「ああ、そうなのか。」
ラムニード「(納得がいったぞ。まったく、この俺にはなにもするなと言っておいて、主役を泣かせるとは…。)」
サイディ「みんなに、おいわいしてもらいたかったな…。」
ラムニード「サイディ、落ち込むことはない。大丈夫。みんなもうすぐ帰ってくるさ。」
サイディ「え…?」
【外から声が聞こえてくる】
アリーシア「サイディ―!」
コルニム「サイディー!」
シャルドネ「おーい、サイディー!」
ジゼルシア「サイディー!でてこいよー!」
サイディ「みんな…?もう帰ってきたの…?」
ラムニード「みんなが呼んでるし、行こうか。」
サイディ「え、あ、ちょっとっ…。」
【つかんだままのサイディの手を引くラムニード】
サイディ「待ってよ、ラム兄。」
ラムニード「大丈夫だよ、サイディ。」
【玄関の前に立つと、ゆっくりドアが開く】
サイディ「…?みんな…どうしたの?一列に並んで…。」
シャルドネ「せーのっ!」
シャルドネ&ラムニード&ジゼルシア&コルニム&アリーシア「お誕生日、おめでとう!!!サイディ!!!」
【手渡される大きな花束】
サイディ「え…、これって…。」
アリーシア「こっちに来て!やっと準備が終わったの!」
コルニム「早く早く!」
サイディ「じゅ、準備って…。」
【アリーシアに手をひかれ、コルニムに背中を押されて歩くサイディ】
サイディ「どこまでいくの?」
ジゼルシア「もうすぐだよ。ほらそこだ。」
サイディ「あそこは、シロツメクサのきれいな…。」
【サイディ、横断幕の誕生日おめでとうの文字に驚く】
ジゼルシア「さて、主役も登場したことだし、料理の準備をするか。アリア、手伝ってくれ。」
アリーシア「わかったわ、お兄様!」
シャルドネ「コニー、あれを持ってくるぞ!」
コルニム「わかった!」
【最後の準備に取り掛かる】
サイディ「…みんな、私の誕生日、知ってたの…。」
ラムニード「教えてくれたじゃないか。誕生日占いをするときに。」
サイディ「…あっ。」
ラムニード「その日からずっと、この日のために準備してきたんだ。」
サイディ「みんな…。」:感極まって泣きそう
ラムニード「そんなサイディに、俺からのプレゼントだ。」
サイディ「ラム兄…。」
ラムニード「俺はパーティの準備はできなかったからな、特別にプレゼントを用意したんだ。」
サイディ「プレゼント…。」
ラムニード「受け取ってくれ、サイディ。」
【ラムニード、小さい箱を渡す】
サイディ「これは…、シロツメクサ…?」
ラムニード「ここでパーティをすると決めた時から、プレゼントにはシロツメクサをモチーフにしようと決めていたんだ。」
サイディ「ラム兄…、ありがとう…。」
ラムニード「悩んだ結果、ネックレスならば邪魔にはなりにくいだろうと考えてネックレスにした。つけてみてくれ。」
サイディ「うんっ!」
【サイディ、箱からシロツメクサのネックレスを取り出す】
サイディ「ラム兄…。」
ラムニード「どうしたんだ、サイディ。」
サイディ「これ、ネックレスにしては短すぎるよ…。首にまわらないもん…。」
ラムニード「な!なんだと!!おかしい…、計算はあってるはずなのに…。ああ!」
サイディ「ど、どうしたのラム兄。」
ラムニード「失敗した分の材料を考慮するのを忘れてしまった…。い、いや言い訳はするまい。すまないサイディ。もう一度作り直すから…。」
サイディ「…いいよ、ラム兄。あたし、これがいい。」
ラムニード「しかし、首にまわらないのならば……。」
サイディ「ほら、こうやってブレスレットにできるし。…こんなに短くなるくらいだから、たくさん失敗したんでしょ?」
ラムニード「うっ、ま、まあ…。」
サイディ「ラム兄が頑張ってくれたんだってわかるから、あたしはこれがいい。ありがとう、ラム兄。」
ラムニード「そ、そうか。…コホン、改めて、サイディ誕生日おめでとう。」
サイディ「うんっ。」
アリーシア「サイディー!お料理の準備できたから来てー!」
サイディ「今いくよー!」
ジゼルシア「今日はサイディの好物をたくさん用意したからな。どんどん食べてくれ。」
サイディ「うわあ、おいしそう。」
シャルドネ「さ、サイディー!!!」
コルニム「うんしょ、うんしょ。」
【大きな笹を運んでくるシャルドネ&コルニム】
サイディ「ど、どうしたの!これ!!」
コルニム「せんせぇと一緒にとってきたの!!」
シャルドネ「実は、今日はある東の国での七夕という記念日でな。笹が必要不可欠なんだ。」
サイディ「たなばた…?」
シャルドネ「よし、じゃあ後で七夕という文化についてみんなで勉強しようか。ラムニードもな。」
ラムニード「俺はわかっているから勉強の必要性はないぞ?」
シャルドネ「いや、お前も参加するべきだ。この間の説明、いろいろと違ってたぞ?」
ラムニード「な、なんだって…。そんなはずは…。」
ジゼルシア「具体的にどこが違ってたんだ?」
シャルドネ「そうだなあ、まず笹はただ飾るのではなく、笹に飾り付けを施すんだよ。」
アリーシア「クリスマスツリーみたいに?」
シャルドネ「そうだな、それはあながち間違いではない。まあそこもあとでおいおい説明していくとして。」
コルニム「ほかにもあるの?」
シャルドネ「うーん、これはこの計画の根本を揺るがす事だから言えなかったんだが、七夕は星空の下でどんちゃん騒ぐイベントではないな。」
ラムニード「(ガガーン)」
アリーシア「…それ、本当?シャル姐。」
ジゼルシア「じゃあ、七夕パーティっていうのは…。」
シャルドネ「まあ個人の裁量にもよるが、本来はパーティなどではなく、もっと静かに行われるものだ。」
コルニム「…ラム兄…。」:じー
ラムニード「くっ、面目ない…。」
ジゼルシア「思いっきり間違ってるな。」
アリーシア「でも、その間違いでパーティを開こうってなったのだから、やっぱりよかったのよ。」
ジゼルシア「そうだな。」
シャルドネ「さて、話はこれくらいにして、料理を食べよう。実はさっきからずっとおなかが減っていてな…。」
アリーシア&コルニム「さんせーい!」
サイディ「うわあ、本当にあたしの好物ばっかり!どれから食べようか迷っちゃうなー。スパゲッティもおいしそうだし、フルーツのシャーベットも欠かせないし!」
ジゼルシア「どれからでもいいぞ。全部作り立てだからな。」
サイディ「うん!ありがとう!じゃあまずは、ロールキャベツから!いただきまーす!……(モグモグ)、うーん、おいしい!!」
コルニム「サイディ!」
サイディ「なあに?」
コルニム「あのね、さっきの花束、アリアと僕でつくったものなの。プレゼント。」
アリーシア「そうなの!」
サイディ「すごくきれいだったよ。ありがとう!」
ジゼルシア「俺はプレゼント用意できなかった。悪い。」
サイディ「いいよ、こんなにたくさんお料理作ってくれたんだし.立派なプレゼントだよ!」
サイディ「みんな、ありがとう!とっても幸せ!!!」
Author:あきつ 2015/07/07